第16章

酒井初音がにこやかに御影怜司を脅し終えると、ふと視線の先に、向かいの席で気品と華やかさをまとって座る御影依織が映った。

信じられない、という顔で二人の距離感を見つめる依織。その表情の濃さは、三村正明と瓜二つだ。

御影怜司は眉をひそめ、周囲の視線など意に介さず、酒井初音へ淡々と言い放つ。

「勘違いするな」

「さっきのは……お前のガラクタを破いた分の弁償にすぎない」

こんなちょっとした“贈り物”で、そこまで嬉しそうにするのか。

……案外、簡単だな。

御影怜司は指先で、こつ、こつ、と机を叩く。口元にわずかな弧が浮かんだ。

酒井初音が伏せた目を上げると、ちょうど――笑みを含んだ瞳と、...

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